ほんまにこのところいけない。自分の気持ちは自分で整えるもんだろう!って自分にいらいら。
そんな中、自分の気持ちを整えるために、簡単に言えばニコニコするために、舐めるように読んできた本がある。
「グルーヴ! 『心地よい』演奏の秘密」(山田陽一編・聞き手)
https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393935002.html
鳥肌を立てながら読んだ本は本当に久しぶり。お守り代わりにいつも鞄に入れておこうかしら。
言葉で音楽を表現することはあまり得意ではないだろうという浅はかな先入観をことごとく破られるように、すばらしい音楽家との間で豊穣な言葉たちが次から次へと流れては消えまた戻ってくるのは、聞き手の巧みなオーケストレーションによるのではないかしら。本当に素晴らしい。一人一人の素晴らしい演奏家が経験して圧倒的な重みを持つ、それでいて軽やかな言葉達が、実際が見えない音の響きや色や、その動きをありありと魅せてくれる。何も聴いていないのに、音が、流れが、ドライブが感じられてなんだかいつの間にか涙がじんわりと感じられるような、本当に素晴らしい言葉達が並んでいる。
武満徹のエッセイが本当に好きだけれども、そことはまた違った視点で音と向き合っている人たちの「あいだ」を垣間見せてくれる、本当に希有な本だとおもう。
あー、がんばろっと、って思わせてもらえる本でした。ほんとうにありがたい。