去年買ってKくんに貸していた本をようやく読了。ようやくとはいえ、読み始めたら止まらないおもしろさだった。「大気を変える錬金術(トーマス・ベイカー著)」(みすず書房)。
窒素循環を研究しているものとして、ハーバーボッシュ法については言及しなければならない場面が多いのに、全くその背景を知らなかった。この本はこの2人の天才を巡る物語ではあるけれど、本当に人間くさくて、そして、血なまぐさい。
窒素循環の複雑さを何とかひもとこうとする営みは、ハーバーとボッシュがアンモニア生産ラインの困難さと戦った営みに似ているのかもしれない、というようなエピローグには襟を正す思い。時には極端に楽観的に、特には極端にぶるトーざーのように事を進めることは大事なのかも。とにかく、解けるはずとおもって進むことの大切さはわかりすぎるほどわかった。
大変お薦めの本です。研究室に持ってゆきますので、夏休みにどうぞ。