Vanity of vanities

Kei Koba in CER, Kyoto University, Japan

ちみもうりょう

京大の演習林へ学生さんを引き連れていって参りました。魑魅魍魎の巣くう、1200年の恨み辛みが土壌につもりつもったあの場所へ。。。


今回お世話になる京大のNさんと森林総研のIさんとはSさん科研で一緒とはいえ、さらに、今回の調査の一部はIさん科研の一部だとはいえ、我々の調査の半分はスピンオフなものであって、メインストリームではない。よくよく考えなくても、彼ら2人の貴重な時間と労力をつかって、彼らになんのメリットがあるのか?と考えると、短期的にはあまりない。それでも手を尽くしてくれるのは、学生さんたちの情熱を信じてくれているからだとおもう。勿論僕の学生だから、というのもあるのだろう。それをすべて考えたら、学生さんたちがどうやってその好意に報いることが出来るか、その方法はあまりオプションがない。他人の時間、他人の自分に対する努力にしっかりと敬意を払うこと、しっかりと自分のやりたいことを見定めて、しっかりやること。「自分の仕事である」という意識(ほとんどプロ意識)を持つこと、、本当に出来ることなんて限られている。


てなことは、言わなくてもいいだろう、わかってくれているはずだよな、なんてことを朝早い新幹線の中で。とりあえずいただいたコメントを参照しながら論文を書く。さすがに名古屋を過ぎると集中力が欠けておしまい。


梅雨の真っ最中、ではあるけれど、あめはぱらっと降ったくらいで何とかいけそう。当初の予定は大きく変更して初日にMくん(+Kさん)の土壌をたんまりととる作戦。



土壌のどこまでをどう扱うか、FHは?Lは?Aは?というcalibrationをI先生のご指導の元行う。比較的わかりやすい。多摩丘陵の土ばかり見ていては困るので、ちょっと違う土に学生さんたちが触れてくれるのはうれしい。


土壌コアを40個以上抜くことになったわけだが、、、さすがに一仕事だった。「やりきった感」満載とMくん談。その後2mmのふるいにかける土を採取したのだが、これはこれで大変なことに。むむ、、、、明日どうなることやら。Kさんの土壌までは行き着かず初日は終了。あ、植物もだいぶ採取した。


夜、何をどこに食べに行くか、、水曜日、、、ということで、詳細は割愛するが、Hというお店に。人生、いろいろ勉強が大切だ。合流したKさんは時空のゆがみに困惑。


2日目、朝一番でさらに論文なおして、Hさんの緒言にコメントしつつ、7時を待ってイノダで朝食とって、出発。快晴。今日が本番。CくんとHさんの土壌サンプリング。斜面上部から土壌を取ってゆく。各自やるべきことが明確になってきたので早い。9:30頃はじめて11:00には5繰り返し終了。植物サンプリングも。根っこはプロ2人に任せてしまっているのが大きいな。これは我々ではとうてい出来ない仕事だ。


斜面下部に移りひたすら黙々と土壌をサンプリング。すばらしいことに2地点おわってご飯を食べたらまだ13時。


ま、そうそう簡単に調査は行かない。土壌調査での鬼門はだいたい2つ。ふるいと抽出(濾過)。2つともにはまる。120g必要な土壌がなかなかとれない。つらい。ふるいをずっとやっていると、僕はこんなところでいったい何をやっているんだろうと思う。思うけど、これまでもずっと、世界のいろいろなところで思ってきたんだということを思い出し、どうせ成長してないからそのまま考えずに放っておこうということになる。斜面下の10-20cmは無理と判断。


何とかふるった後は土壌抽出。2M KClを使うのだが、手回し遠心機ではやはり力不足か、、、落ちない。濾過できない。GF/Fを通らない。。。。50ml程度の抽出液を得るのに、1時間、フィルターホルダーを8つ消費するという超リッチな抽出。むむむ。。。斜面上部のA0層が鬼門。A0については土壌とKCl溶液の比率をもっと変えてもいいのだろうが、、、結局mineral soilと同じratioでいけたので、まぁ、みんなで頑張れば出来ちゃう、ってことで、結果オーライか。10-20cmについては、土壌微生物バイオマスは無理と判断。5繰り返しのうち2、できれば3繰り返しとれればラッキーと言うことにしようということで。


うずたかく積み上げられた送り返す荷物。これが出来たと言うことは調査が一応おしまいと言うことだ。ああ、いろいろ難しくて、本当のところ、65%くらいの実現率だったか?最初の計画はまさに計画倒れ。でも、まぁ上出来でしょう。ということで、京都の西のEまで足をのばして食べに行く。人生頑張ればいいことあるなぁ。


3日目、朝一番でさらに論文なおして、Hさんの緒言にコメントしつつ、7時を待ってイノダで朝食とって(この日はCくんも一緒だった。チーズケーキという手があったか、、、)、駅まで巨大クーラーとともに出発。京都のタクシー、なんだかいつも面白い。このときのおっちゃんは、なかなかのプロだったみたい。京都駅で座席指定したら30分あるので、学生さんたちにはおみやげを買いに行ってもらい、僕はホームで巨大クーラーに腰掛けて久々に音楽を聴いていた。なんだかしみいる感じなので、ああ、とにかく今回終わったな、と。


帰りの電車はみな疲れて言葉少な。そりゃそうだな。僕も新幹線で最後の論文書き換えをしていたけれど、たった1パラグラフのところが書ききれない。苦しい。それより眠い。ラボに帰って論文原稿をY先生とFさんに送って、待っていた違う学生さんたちの違う仕事の相談にのり、GCとIRMSをつなぎ、ようやく生協に残っていたお弁当を口に放り込んだら、Y先生とFさんが論文を読んでくれてコメントをさらに返してくれた。ありがてぇ。。。


P濃度の比色定量やら、溶液からN2Oを抜くやり方やら、その辺がひと落ち着きしたところでKさん誕生日ケーキが振る舞われた。一口食べたら(おいしかった!)もういかなきゃ。ってことで駆け足で帰宅。


いやぁ、山の調査は面白いなぁ。2人専門家がいてくれるとこんなにいろいろ見えてくるものか。ありがたいことです。


学生さんたちはおとといから引き続きおそらく今日も抽出やら測定やらで感張っているはず。みんな頑張れ!こちらは朝一番で原稿をさらに直して、先ほど英文校閲に回したところ、、、来週にはsubmitせねば。そして明日からは次の原稿に移らないと。あじゃりもち食べてがんばろ〜


あ!Hさんの緒言ファイルをlaptopに入れたままだ、、、うーん。ま、来週まで忙しいだろうからとりあえず月曜日に渡します〜〜


今回の調査も、大変だったけど勉強になったし楽しかった、と思ってくれているといいが。次回は、遠心機を担いでゆくか、吸引濾過を試してみるか、どちらかやらないと大変なことになるかもね。うん。

本拠地はこちら http://www.ecology.kyoto-u.ac.jp/~keikoba/