Vanity of vanities

Kei Koba in CER, Kyoto University, Japan

現代の方法序説

マニュアルがー 暗黙知がー とここに書いたらソムリエがオススメしてくれた本。


「みる わかる 伝える」畑村洋太郎


失敗学は、以前よんだものがあまり面白くなかったので、なんとなく避けていたが、人生、損した。


現代の 方法序説 だとおもう。


このところ数年、読むべき本を聞かれたら

方法序説
菊と刀
人間の建設
風姿花伝
デザインの輪郭
デザインのデザイン

などを挙げていたけど、この一冊は、今や500円ちょっとで手に入るし、最近の著作だし、是非いちど自分の手元において欲しい。なぜもっと早く読まなかったのか、、26のあのときに知っていれば、、ってまだ初版もでてないか。


型にはめてみる(テンプレートを意識させる)
お作法をなぞる(同上)
遠近法をつかう(逆演算的に別角度からみさせる)
とにかくうごかす(試動させる)
動きをみる(同上)
メタ化(上位概念への移行を促す)

僕がよく使う言葉の意味を、この本に沿ったものにしてみるとかっこ内になり、もう、何もかもその通り!と思いながら読み進めた。当たり前のことが書いてある。何度でもいうけれども、当たり前のことが当たり前に書かれていて、流れるように読める文章は恐ろしいのだ。こんなにさらさらと読ませてしまうこの本の奥深さ、力は大変なものだ。


下記にあるように、大変耳が痛い指摘もたたある。マニュアルを見直して、こぼれ落ちた知識を再確認しようとしていたけど、それでは足りない。当たり前のことを当たり前にできる構造をPIとしては作らねばならないな、と大反省。


プロセスを順演算でみる、逆演算でみる(p45-)


現象を理解するための理論だけ知っていても、行動とその結果を知ることはできない(p82)


行動、結果、そしてそれを結ぶ理論の三つを理解して、はじめてその人は「わかった」ということができる(p82-83)


「真の科学的理解」とは、要素の抽出と構造化を通じて目の前のものや現象の状態を正確に知り、現象の因果関係を正しく理解すること(p93)


現象を前にしてまず観察からはじめて、要素の抽出-構造化-試動-検証を繰り返す(p95)


アナロジーを使うためには、既知のものを「上位概念」に登って理解する必要がある。上位概念に登るというのは、具体的なもの(属性)を削ぎ落としてその中に含まれている基本的な考えを理解すること(p118)


伝える人にとっていちばん大切なのは、伝える手段を充実させることではない。本当に伝わったかどうか、伝えた人のことをきちんと見守ることなのだ。そして伝わっていないと感じた場合は助言をする。
じつはこうしたフィードバックこそが教育の本質なのだ(p145)


「受け入れの素地」は、その人が本当に必要だと思ったときにできる(p157)


しかし、もっともっと大切なのは、本書で書いてきたように、まずは自分で行動し、自分の頭で考え、自分自身の頭に思考回路をつくりあげることなのだ。そして教師の重要な役割とは、生徒がアウトプットする機会をつくったり、アウトプットに対し助言するなど、そうした活動をサポートすることなのたか(p217)

本拠地はこちら http://www.ecology.kyoto-u.ac.jp/~keikoba/