Vanity of vanities

Kei Koba in CER, Kyoto University, Japan

嘘じゃないんだけれど

もう25年近く研究をやってきていると、昔手をつけたものとか、それこそずっとやってきたものとか、いろいろあるわけです。

 

で、それの話になると「それは~~だってわかってるよね」という先入観がはいるのがまずい。たとえば、、、えっと、、、この間だと、、、ああ、リター分解における窒素固定ってどうなんですか?っていわれて「いや、それやったけど出なくてさあ」「ぐっちゃぐっちゃなんだよね」ってそれって話が1999年でとまってるやんおっちゃん(自分ね)。やってだめだったのは「あんた」で、いま、もう、20年よ?わかる?みんなすごいのよ?updateしてる????ってところがむちゃくちゃ甘い。あまいんだから黙れよ!自分!黙っちゃだめならもう少しなんとかしろよ!

 

こういうケースは、まぁ、わかりやすい、、わかりやすいよね。わかりやすい老害。みんなで気をつけよう。

 

 

問題は、、、、たとえば引用する文献が、かなり「好み」に偏ってしまうってことなんだよね、、、昔(特に大学院時代なんですよねこれが)、自分が丁寧に読んだ論文の印象はもちろん強くて、それを引用したくなっちゃう(し、実際時間がないから、頭の中でぱぱぱっと出てくる10本とかイントロでならべて「なんとスムーズなイントロ!」みたいに、にやにやとにやける)。

 

けれど、、、端的に「おっちゃん、それふるいで」ってのがある。ありまくる。でもね、やっぱり時間もないしね、印象強いしね、だから引用しちゃうんだよね。わかるわ。。。自分もそうなんですよ。窒素が足りません=Vitousek and Howarth 1991 Biogeochemistryって書いちゃう(何も見ずに書けちゃう)。そうなんだけれど、でも、そこで一歩踏みとどまって、議論もう一度考えられる?本当にそれが引用すべき論文?特に和文書くときに、それで、若い、研究始めた読者が間違った方向に行かない?行かないまでも、もっと最新の知見を含めた、より包括的な、より深い議論ができている論文がないの?すくなくとも、すくなくともですよ、もう一本、二本、もっと最近の論文引用しません?ってことを思う。

 

うそじゃない。うそじゃないんだけれど、ちょっとちがうところからみたら「ああ、またあれ引用してるぜ、とほほだな」ってのがやっぱりある。まさに「知識がアップデートされていない」ってのの顕在化。だれもつっこまないしね。。。

 

 

僕らの分野だと(って、どの分野なのよ?)、たとえば80年代、90年代の論文で、かなり偏りがあることがある。で、引用回数とか調べると??(あれ、あまり引用されてなくない?)という状態だったり、よくあるのが、引用を頻繁にしているのが手に入りにくい本のchapterだったり、、、それを孫引きしちゃうんですよね、、、みんな。で、「それ読んでるの」って話になるのですよ。自分でその文献手に入れようとして始めてわかる。あら、これ、簡単には手に入らないぞ。まじでみんなこんなの読んでるの?よっぽど大事なのか、、、と手に取って、ええええーってのもかなりの確率である。

 

 

無論どんなところでも、そういう「引用の流れ」ってできるもので、その流れに乗ることができる人、論文がすごいわけだけれど(Minagawa and Wada 1984 GCAはある程度そこに成功しているすごい論文な訳です。和田さん自身がそんなこと言ってた気がする。引用するしかないんだよね、って感じで)。でも、そこには間違いが、というかずれがある。間違いにみたないまでもずれを正すには元論文読まなきゃいけない。けれど誰も元論文読んでいない論文ってのができあがっちゃう。それはやっぱり教育に携わる人間として、逐一、ほんまなの?どのグラフでそれ言ってる?そもそも読んだ?って言ってゆかないといけないだろうと思うわけです。そこから流れを改善してゆくしかない。

 

 

研究を始めた25年前はChemical Abstractをひっくり返して、どの論文がどれ引用しているか必死に調べたのでした。Mariotti et al. 1988 GCAがバイブルだった卒論では、これを引用している論文をすべてその当時しらべて、それで初めて、あれ?自分が読んでいる(読みやすいから最初はそれしか読めなかった)和文の内容があまり良い内容じゃないんじゃないか?ってわかったのです。だれも周りで硝酸イオンの同位体なんてやっていないし、そもそも論文自体少なそうだったし、陸上とかだとほんまなにがなんだか、、だったし、、、あの、あほみたいな日々で危ないところか抜け出せたのです。多分。

 

その後、研究室にあったOecologiaを古い古い巻から最新巻まですべて見て、同位体が使われている論文を片っ端から手に入れて、植物の炭素研究がどれくらい進んでいるか、進んでいるのかはわからないまでも数がものすごいのと、どう頑張っても陸上植物の窒素同位体比って、窒素固定以外ほとんどなされていないってのがわかったのです。先輩から何あほみたいなことやってるんだっていわれたけれど、とにかくやりたかったのでやりました。D1になるころには、図書室に行って(自分のラボは森林生態学でしたから)、Limnology and Oceanographyを30年分くらい見て、あまりのすごさ(同位体比を使っていてもタイトルには「同位体」の文字は出てこない)に呆然としたのでした。もうGCAは見る勇気はなかった・・・・(これが後々尾を引くけれど。でも、XXXの図書室怖かったし)。

 

 

というので、まぁ、冗談めかしていうけれど、でも、まじで、今や引用リンクたどるのむちゃくちゃ楽なんだし、たとえば10本くらい、その論文が引用されている論文をすべて見てみるの、いいとおもうよ。和田さんは、1人の著者の論文をすべて集めてみていったらその研究の進化がわかるよ、ってのでMark Altabetについて先輩のYさんがゼミ発表して、「で、君はMarkに勝てるのかね?」っていわれてドギマギしてた。自分はAndre Mariottiについて集めてて、どうしよう、、勝てるか?とか聞いたら、食べる量だけはとか答えるしかないじゃん、とおもってたけど和田ゼミが消滅してたんでした。でも、それは今でもやってる。いまやGoogle Scholarで何でもわかるしアラートすら投げてくれるし。

 

 

なにがいいたいかって、引用はしんどいけど丁寧に頑張ってやりましょう!ってことです。何事についても苦笑いしたり、薄ら笑い、へらへらっと笑ってごまかしちゃうようなことは、ぐっと歯を食いしばってもう一歩頑張りましょう。薄ら笑いしてごまかしている時間は僕らにはどこにもないのですってことで。

 

 

引用も、XXXX et al. 2199, p356 とか、人文系のテキストみたいに細かくした方がいいと思うなぁ、、、少なくともdraftのときは論文の該当箇所を貼り付けておこうかしら。Chapin et al. 2008とかで本引用するとか、本当にいやな気分だものなぁ、、、本のどこにそれが書いてあるって説明したらいいのよ!ってので。

 

 

 

すみません、いろいろあってやさぐれていますが、これは下書きいきだな。ちょっとねかしてから。。。-->と下書きに放り込んで、一体いつかいたの?とわからないくらい熟成したので公開します笑

本拠地はこちら http://www.ecology.kyoto-u.ac.jp/~keikoba/