Vanity of vanities

Kei Koba in CER, Kyoto University, Japan

禅と靴磨き

オートバイ修理や自転車修理はこの20年やってないのでねぇ、、、、


ようやく靴を磨いた。ようやく。ほんまようやく。たった2時間ちょっとの時間だけれど、とれなかった。とらなかった。おそらく1年半ぶりくらいではないか。この頃、ちょっとした式典にて履いていたチャッカーブーツ(チャッカーを履いている時点でかなりやる気がなくなっている感があるわけだけれど)の革の潤いが無くなっているのを知っていながら、できなかった。


前回は昔のMBLのTシャツを使ってステインリムーバーを塗り込んでいたのを思い出す。彼の布達は関西への引っ越しの際に全て捨てたのだった。なので、今回は、、、そう、2003年とかに買ったアラスカンアンバーのTシャツを破って布にした。すでに穴ぼこぼこあいているしね、、、。残り少ないステインリムーバーを塗り込んでいくと、ああ、ごめんなさい、、、と思うほど革の感触が変わってくる。


一番古い靴は、成人式の時に買う、ということで買ったリーガルの黒いストレートチップなので、もう25年以上たつ。冠婚葬祭で使ってきたので、特につらい思い出がよみがえる。高校の同級生の告別式で履いたのだった。京都から関東へ戻り、雨の告別式、すぐさま京都へ戻ったのだった。たぶん。本当のところ、もう記憶は定かではないのだけれど、でも、思いだけは毎回よみがえる。このために靴磨きをしているのかもしれないと毎回思う。


一番はいている茶色のUチップはおそらくもうすぐ20年。今日、靴の奥底まで手を入れてみて、革が一部極端に薄くなっていることが分かった。こうなるのか、、、これは修理をお願いしなければならないな、、、東京に連泊するときに1日だけ夜の飲み会を抜け出して都内へ靴を持ってゆくしかないかな。。。。。関西に来る前に一度、この靴を売ってくれた店に立ち寄ったときに、買った頃とはだいぶ好みが違うだろうけれど、もうこの足形は存在しない(ちょっと特殊な足形だったので、発注してから4ヶ月くらい必要だった靴だった)ので、どうしましょうかねぇ、という話だったが、それどころの騒ぎじゃないや。


チャッカーも一部、大事な部分の糸がほつれてきている。これは自分で直せる気がしない(革が厚いし)。やっぱり持ってゆくしかないな。夏にチャッカーブーツを履くことはないはずだしな、、、、


1つだけあるジョッパーブーツだけ、違う店で買ったもので、安かったこともあり、実は愛着が薄い。靴擦れもする。革の質もやっぱり悪い。だけれど、ちょっと時間をかければ、きちんとした感触に戻る。ああ、結局何にせよ、どう丁寧にやってゆくかってことなのだ、印象がどうであれ、初期値がどうであれ、ある程度の所まではある程度がんばればいけるはず、それを怠っていることがほとんどではないか、ある程度かどうかの判断も曖昧なまま諦める口実はたくさんあるわけだし、、、、と。ぼんやり考える。


冠婚葬祭のハレの日のための黒いストレートチップを数年前に新調した。リーガルのは、つらい思い出を一緒にかみしめるのに使いたい、が、善き日のためには、ちょっと違うものが欲しい、と思って、思い切りいろいろ考えた上で購入した。これはこれで、ある程度というレベルを超えたものがどういうものなのか、を教えてくれる。こんなにも違うのかとびっくりさせられる。


そんなこんなをつらつらと考えた。ずっと犬が近くで寝そべって、ときどきこちらを上目遣いでのぞいては、またほっとしたように伏せてじっとしている。子ども達も、これは私のやりたいことだからやらせて欲しい、といったら納得して近寄らないし、いろいろな関係性の成長も感じながら、徒然なることをただぼんやりと考えていた。少しずつ少しずつだけれど、靴が光ってくる。でも、ぴかぴかにすることはしない。それが最終目的ではないからね、、、、


とかとかでした。

本拠地はこちら http://www.ecology.kyoto-u.ac.jp/~keikoba/