「個性なんてものは,ひとりよがりの思い上りで,できるもんじゃない。柔軟な心で,素直に社会と交わらなければ,生まれないものだ。社会的なものがあってこそ,個性は成長するんだよ」(「この人をみよ」p204)
ずっと新幹線の中でたったまま,こんな言葉を追いかけていた。
小林秀雄の文章ではないのだが,小林秀雄について語る人々の言葉が,ものすごく鋭く暖かい。松本隆へのTributeアルバムの上質を思い出しながら読んでいた。
「その複雑さを大切にするんだね」(p361)
こんな言葉を丁寧にかけることができるようになるだろうか。できるようになるように,少しでも努力しなければ。