Vanity of vanities

Kei Koba in CER, Kyoto University, Japan

おつかれさまでした!窒素循環放談会

元々は、S研でGC/MSをつかってみんないろいろやっているけれど、何をやっているのかお互い知らないというのは、一言で言えばまずい!ということで、S先生に話を聞いてもらおう、みんなで情報交換しようという機会を作らなければ、ということだった。


同時に、どうしてもうちのラボだと、自分の研究発表をするチャンスが少なく、さらに ぱわーぽいんと でのプレゼンテーションに頼り、文章、特に自分の研究の背景と重要性をしっかり提示する能力、そして仮説立案能力が足りないことを強く危惧していたので、ちょっと分野の違う先生にこてんぱんにいじめてもらわなければと思っていたので、それもかねてやろう、ということを思いついた。というか、思いついてから半年くらい経ってしまった。


せっかくやるんだから、他の先生も呼ぼう、できれば我々の分野から離れた、つまりはmolecularな(というくくりは違うかもしれないけれど、僕としてはとにかく微生物がわかる、微生物をみている)先生に声をかけてみよう。ああ、ついでに、N2Oの同位体の話もちゃんと聞いてもらいたいし、Sくんにも発表してもらおう。ああ、Sくんが発表するなら同じ木崎で、膜な話をしているKさんの話も聞いてもらって機械の実際をみてもらおう、ああああ、どうせ同位体の話をするなら、うちで測定しているM君の話も卒業してしまう前にちゃんと聞きたいし、話をしてもらおう!


というところまでは、確かに種をまいたかも。


いろいろな方が発表したい、とおっしゃってくれて、泣く泣くお断りした方もいて大変申し訳なかったけれど、結局、ふたを開けてみれば、北は東北、南(西)は島根から参加してくださる方がいらっしゃって、1つの細胞から生態系全体の話まで、空から振ってくる窒素から、深い海の微生物まで、幅広い研究スペクトルの話を一気に聞くことができた。


むちゃくちゃ面白かった。


S先生がおっしゃっていたけれど、自分が聞きたい話があるならば、自分が何かをorganizeしたらいい、ということがよくわかった。


「システム」を考えるときに、どうしても避けられないメタ化、フレーミングの問題がある。物質の循環は、一細胞でみても一生態系でみても、連続的な概念を貫いて、一元的に理解できるのではないかと思いながら、それぞれの対象で研究を進めているはずなのだけれど(明示的でないにせよ)、実際には、そのようなメタ化につながるような情報交換すらできていない。フラックスとcell-cell comm.の間で、どんな考え方の相違があって、そこはどうすりあわせてゆくべきなのか、すりあわせる必要がないのか、そういったことすら議論できない状況にある。


そういうgeneralな話はいらないのかもしれない。specialistになっていかなければ、今の細分化の進んだ学問体制には組み込まれることなく、研究を続けてゆくことは難しいのかもしれない。それは実際、常日頃じわりと感じている障害でもある。


しかし、そんなのおかしい。


僕は、雨から沿岸域まで(外洋は難しいけれど)、サブミリ秒から30万年まで、いろいろなスケールで物事を考えるトレーニングを通じて、どうやったらシステムを理解できるのか、その方法論を考えたいと思って研究をしているつもり。その方向性は今の日本の学問体制にはあわずあがいているけれど、あがき続けようと今回改めて強く思った。


と、言い放ってみたりして(笑)。


ご参加頂いた方の大部分の皆様に直接お話をお聞きすることができなかったのがなんとも残念です(懇親会含めて)、、、。

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発表順にちょっとコメントなど


土壌でのアナモックスについては、それ自体まだあるのかないのかわからない、報告されていないトピックでとても興味深かった。系の安定性が必要なのだろうか、というのは安易すぎるイメージなのかしら。


地下圏での脱窒については、やっぱりやっているのね、というのが第一印象だけれど、よくよく考えると、あれ?逆にそんなもんなの?とか、逆に何かに制限されているの?と思ったり。素直にredoxの順番でbiogeochemical cycleが回っているというのは、もう、教科書の中だけの話であって、考えなくても良いのかもしれないな、とか乱暴な気持ちに(笑)


NOの測定をやっぱり何とかしなければ。Yさんはいつも素敵だ。またいろいろご相談に乗って頂かねば。


東大S研の一連の発表は、S先生のねらい通り、くらくらさせられて、もう、いったい、僕は何をやってきたのかわからなくなってしまった(笑)。しかし、それでも何でも、とにかく前に進まないといけない。微生物の共存機構なり、見えなかった生理なりが明らかになってきたとしたら、じゃあ、現場では?という問いになんとか全力で答えを出せるようにしなければ。いや、その前に、そういった機構、生理が残す証拠をしっかりと定式化しなければ、、うーん、、、よろしくお願いします!m(_ _)m しかし、NO3-->NO2-->NO-->N2O-->N2なんて、本当は一つも進んでいないのかも、、、、うーん、、、、


今回、というかこのところうすうす感じてはいたのだけれど、MPNって凄い。16sとかにだけ頼っていてはいけないな。MPNが語ることのできることは、僕が思っているよりもはるかに多いし、強力だ。


微生物の生き様、成長かメンテナンスか、ポテンシャルとin-situという根元的な問いを常に示してもらえるのは本当にありがたい。ケーキが5個あるけど10人いるね、、というような緩い競争と、砂漠で水が500mlあるけれど、人が10人いるね、といったぎりぎりの競争を僕ははき違えているかもしれない。


N2Oで止まる脱窒菌というのは、変だと思うけれど、それでも、N2O-->N2だけをやるやつよりはまだ理解できる。とにもかくにも、3次元で刻々と変化してゆく河川でのfree-livingの脱窒菌というものが意味することはいったい何なのだろうか


バイオフィルムの群集としての振る舞い、そこにNOがしっかり関わっているというのは、発狂しそうに面白い。とにかくN2OとNO、やりましょう!ついでに同位体も!よろしくお願いします!


ちゃんとAOAのキャラクターが見えてくるのが凄い。なんだか普通にわかりました、と発表していたけれど、裏に何があるのか聞き出しきれなかった。しかし、AOA、考えれば考えるほど不思議、、、、


根粒菌って、実際手にしてみると、凄くぎっしりとした、微生物の固まり!という実感があるのだけれど、いろいろなことがやはりおこるのだろうな、とおもった。「実験をしたが、ばらつきが大きかったので、次の実験ではばらつきが少なくなるように努力した」とあっさりおっしゃっていたのが凄いと思った。ばらつきの意味をしっかり考えて、よりよい、目指すべき精度をしっかり見定めることはとても大切だが難しい。とにかくDIN測定では何かしらお手伝いできると思いますので!!!


「一般システム理論」はY研の本棚にももちろんあるのだけれど、学生さんが呼んでいるふしはないのだなぁ、、お使いになられていたRのコードについては、Nさんのブログにコメントを残して相談などしてみてください。ああいう思考実験をしっかりできるように、是非ともみんなにはモデルで遊んで欲しいのだが、、、


ちょうど数日前に地下水へのN2Oの放出がGCBに載っていて、美しい、、と思っていた研究の続きを聞けたので大変満足でした。土壌中のN2Oのソースは結局地下水中なのか、それとも地下水と土壌なのか、気になりました。僕のやっていたところだと、土壌から上に拡散してくるN2Oと地下水上層のN2Oは同位体でみるとかなり違うので、地下水と土壌のインターフェイスのところでやっぱり何かあると考えなければならないのかと思っていたところです。


NH3ってあんなにあるのか、、と認識を新たにしました。N2Oだけ追っかけていてもダメですね。Biogeochemistryのやはりchemistryの部分をもっとしっかりやって行かねばならないのだと、身の引き締まる思いがしました。Yがお世話になりますが、どうぞよろしくお願いいたします!

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朝一番だから頭回っていないけれど、とにかく覚え書き代わりに、、、、


そして懇親会ではJAMおじさんが炸裂していて結構でした!おもしろかったわ〜〜よく考えたらKくんの発表を聞いたことがない(ということで実際研究上の接点がかほとんどないことがわかるね)ので、一度農工大に遊びに来てもらおう。


とにかく皆様お疲れ様でした!今後ともこれに懲りずよろしくお願いいたします!

本拠地はこちら http://www.ecology.kyoto-u.ac.jp/~keikoba/