Vanity of vanities

Kei Koba in CER, Kyoto University, Japan

外を意識しないとみえなくなる

ありがたいことに、ここ数年、アウェーな集会で発表させていただくことが多い。実のところホームはすでにとうの昔になくなってしまっているのだろうが、、、


昨日の発表は、勝手に迷走して着陸に失敗した、痛い一人ボケツッコミのようになってしまったけれど、専門の違う皆さんと一緒にああだこうだということ自体、ものすごく刺激になったし、勉強になったし、緊張したし、何よりも楽しかった。やっぱり自分の専門と少し外れた所で頑張らねばだめだな、と。


わかる、ということは一体なんなのか、という難しい問いを遠めにみつつ、自分の目標は何処なのか、同じシステムをみるにしても他の人のアプローチ、そして目標とする到達点はどのように違うのか、違いはすり合わせるべきなのか、はたまた丁寧に保護してゆくべきなのか、などと久しぶりに考えるチャンスをいただいた。オーガナイズしていただいたKさんをはじめ、関係者の皆様には本当に感謝です。


プロセスの解明がより良い理解につながる!という慣れ親しんだスローガンは耳にも口にも優しいけれど、予測がしっかりとできればそれでいいではないか、プロセス情報なんて不確実性を与えるだけだ、とも思ったりもする。演繹と帰納アブダクション修士の頃、将来をどうするか、一応考えたころと同じ話に戻ってきている。あの頃諦めたはずのものにズルズルと引きずられているこの約15年あまりが明らかになってゾッとするやら苦笑するやら。


メタ分析をモニタリング側の人とモデリングの人でやってみるとちがうだろうというIさんのコメントにはハッとした。これは一つありえる、上手い共同研究のあり方かもしれない。日本の物質循環モデリングといえばIさん、と誰もが口を揃える憧れの方と今回お話出来ただけでお腹いっぱいだった。その割には、いろいろ注文を出してしまってますが汗、、


Sさんのモデルがとてもシンプルかつ妥当な物の見方を取り入れることでみるみる改善されて行くのは感動的だった。スケールにとても気を配っていらっしゃる印象があって、モデルを改善した人の行動に関する情報についても、その影響がきちんと見えるスケールだからでしょうね、という話には、なんとスマートな見方だろうか、と、頭のいい人に共通してある、丁寧な単純化の爽やかな空気を感じながらお話を伺っていた。


Iさんのモデル同化の話は、データをなじませる、という言葉がとても印象的で、こういう生々しい言葉を聞けた事がとても自分には大事な経験だった。今回のスマートな話の裏には大変な努力があるのだろうけれど、モデルやGISの発表だと、だいたいにおいて結果が綺麗だろうからか、僕は努力を過小評価しがちで、いかんいかんと素直に思えてよかった。統計データを使う、という言葉一つとっても、プロの言葉はとてつもなく重いのだ。当たり前だが。


モデルはやっぱりやりたいし、よりやりたくなったけれど、今回の集会で、簡単にはやりたいと言ってはいけないな、と、慎重になれたことが、1番のわかりやすい収穫かも?!とにかくありがとうございました!

本拠地はこちら http://www.ecology.kyoto-u.ac.jp/~keikoba/