Vanity of vanities

Kei Koba in CER, Kyoto University, Japan

毎年のことですが、そして自分もいわれてきたことですが

卒論修論執筆に当たっての基本的なお作法、心得。このエントリーは2月いっぱいまで毎日のように書き換えることになりそう。


* 卒論生、修論生の間で、自分たちの書いた文章を読みあいましょう。指摘しあいましょう。あれ?と思うことのほぼ100%が自分にも当てはまります。


* 「これ論」を読みましょう(ずっと貸し出していて僕自身は読んでいないのですが)


* 読者の理解力に頼ってはいけません。読者をしっかり誘導すること。丁寧すぎるくらいでちょうど良いのです。「この図を見ればわかるように」といわれても、どこをどう見ればいいのか、他人にはわからないものですよ。


* レポートではなく論文です。自分の意見ではなく、客観的な議論が必要です。意見ではなく、議論、解釈であるからには、しっかりとした裏付けが必要です。


* これまでの研究の歴史をしっかり記述すること。わかってきたこと、わからないこと、なぜわからないのか、そして何を新たに自分の研究で明らかにするのか。


* 検証すべき仮説が文章として表現できていない場合は、考えが足りていないと思いましょう。


* なぜ自分の研究が重要なのか?これまでやっていないから、ではだめです。全く重要でなく、誰も見向きもしないからやっていないだけかも。


* 差があった、違いがあった、などは、きちんと統計をかけましょう(という言葉遣いは正確でないにしても、まずは)。


* 使うタームは統一しましょう。


* 図のほうが本当に有効ですか?表にしたほうが読者にとって有益な情報が得られるということはありませんか?研究室の後輩に向けて、いろいろな読者のために、appendixとして、データはしっかり数字としてつけておくことを考えてください。


* 特にイントロダクションは、一つ一つの文章をしっかりとつなげること。接続詞、指示代名詞をしっかりと使うこと(指示代名詞は使い方に注意が必要だけれど。そのことは〜〜って、どのことやねん!ってことが度々)。


* 提示したデータについては、すべてについて議論すべきと考えてください。都合の良いデータのみについて議論することはいけません。


* 100%すべてが上手く解釈できることはありません。絶対にありません。感覚的には20%くらいかもしれません。自信を持って言えることが少ないことに驚愕してください。言えないことの圧倒的な多さにうちのめされてください。それでも、ほんの一握りであっても、該当学問領域を1cmでも前に進めることのできる新たな知見をしっかりと得て、しっかりと議論してゆくことが大切です。あれも言えないこれも言えないとうだうだいう時期は必要です。しかし、言えないことが多々あることと、自分が言えることをしっかり言うことは、全く違うことです。はき違えてはいけません。逃げてはいけません。ごまかしてはいけません。


* これまで言われていた結果が出なかった。だから測定誤差が云々、、、というのは全くおかしい。これまで言われていた結果と同じ結果をまず求めるのは研究のあり方として?であるし、得られた結果がたとえ逆であっても、その理由をしっかりと議論することが研究。測定誤差が云々というのであれば、もともと測定がきちんとできていないのであって、論文執筆できる状態ではない。


* 文献情報などは丁寧に書きましょう。Yoh 1990とYoh et al. 1990は違う論文ですから、しっかりと分けて書かねばなりません。だいたいの場合、引用した論文を読んですぐさま、引用の意味をつかむことも難しいのに、引用している論文が見つからなかったりすると、読者としてはかなりがっくりですよね。いらない努力を読者にさせてはいけません。

本拠地はこちら http://www.ecology.kyoto-u.ac.jp/~keikoba/